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科学部の研究活動の紹介

科学部の研究活動をご紹介します。

各研究が作成したポスター(PDFファイル)もご覧ください。


科学部では、前期課程生と後期課程生合わせて38人で活動しています。

主に研究活動を行っており、現在は6つの研究をしています。

毎年11月頃に行われる群馬県理科研究発表会で、一年間の研究の内容を報告しています。

研究活動のほかには、自律型ロボットの大会「ロボカップジュニア」や科学力を競う大会「科学の甲子園ジュニア」などに参加しています。

これらの活動を通し、責任感・連帯感を養うことと学習意欲の向上を目標としています。

昨年度の活動内容と今年度の予定について、説明します。ここでは3つご紹介します。

各研究が作成したポスター(PDFファイル)もご覧ください。

 

「自律型全方位移動ロボットの研究 ~機体の重心と走行の関係~」ロボット.pdf

前に回すと斜め45度に力が働く「メカナムホイール」という特殊なタイヤにかかわる研究です。

メカナムホイールを用いた4輪ロボットは、機体の向きを変えずに全方向に移動することができます。

このロボットが走行する際に、機体の重心の位置がどのような影響を与えるのか研究しました。

重りを載せて重心の位置を変え、実験を行った結果、重心の位置が中心から離れるほど機体の走行が不安定になることがわかりました。

なお、今年度は、4輪ロボットで段差を越える研究を行う予定です。

 

「校庭の池の研究 ~池の循環と溶存酸素量の変化~」中庭_DO.pdf

本校の校庭には小さな池がありますが、ヘドロがたまったことによって見た目とにおいが悪化しています。

この問題を解決策として、ヘドロを分解する微生物に着目し、微生物を活性化させる方法を考えました。

水中の酸素量(溶存酸素量:DO)が多ければ微生物も活性化すると仮定し、DOを増やす方法を考えました。

水を高いところから注ぎながら循環させればDOが増加するのではないかと考え、水槽で実験を行いました。

水槽での実験では、循環した水のDOは増加しましたが、池での実験ではDOはあまり増えませんでした。

これは池の水のDOがすでに限界値だったからだと考えています。

今年度は、微生物の分解作用を利用して水を浄化できる炭素繊維について研究を行う予定です。

 

「校庭の池の研究 ~日光が池の水質に与える影響~」中庭_COD.pdf

同じく本校の池に関する研究です。池の水質調査を行った結果、CODという項目の数値が一番高く出ました。

CODとは、化学的酸素要求量のことで、水中の有機物の量を表します。汚れの量の目安として使われます。

この研究では、なぜ池のCOD値が高いのかについて実験を通して明らかにすることを目的としています。

日光がCOD値に影響を与えていると予想し、日光を当てた水と宛てない水のCOD値を比較する実験を行いました。

その結果、日光がある場合COD値が高くなりそうだということが見えてきました。

今年度も引き続きCOD値について調査と研究を進めてい行きます。


「ケフィアグレインの効率的な培養 ~植物の粉末投与による増殖速度への効果~」ケフィア.pdf

ケフィアとは、乳酸菌と酵母の共生発酵によりできる乳製品で、ケフィアグレインとは、ケフィアの種菌のことです。

ケフィアは大腸がんの予防に効果があるとされていますが、培養に時間がかかることが課題です。

大麦に含まれるβグルカンと、パイナップルに含まれる香気成分(におい)が乳酸菌の培養を促進させるということに着目し、

それらを投与することでケフィアの培養速度を上げられるか研究しました。

大麦の粉末とパイナップルの粉末を投与する実験を行った結果、ともにケフィアの増殖量を増やすことがわかりました。

また、粉末が水分を吸ってしまうので投与量に限度があるということも分かりました。

今年度は、特に効果が大きかったパイナップルに対象を絞り、より詳しく研究します。

 

「発光バクテリアを用いたランプの改良 ~発光と増殖を目指して~」発光バクテリア.pdf

イカなどの一部の海洋生物の表面には、光る微生物、発光バクテリアが付着していることがあります。

これを培養させ、照明として利用した、電気を使わない環境にやさしいランプが海外の企業で開発されています。

しかし、照明として使うには明るさが足りないなど、課題を抱えています。

この研究では、発光バクテリアを用いたランプの課題を解決し、改良することを目標としています。

現在はその準備段階で、市販のイカから発光バクテリアを採取し、培養し、発光を観察しようとしています。

バクテリアが光る様子は確認できましたが、まだ培養ができていません。

今年度は引き続き発光バクテリアの培養方法の確立からめざしていきます。

 

「雷雲の到達・通過時刻の算出 ~雷観測情報に基づいて~」雷雲の移動予測.pdf

本校生徒対象の意識調査によって、雷鳴が聞こえると急いで帰ってしまう生徒が多いことがわかりました。

落雷の危険を考えると、これは危ない行動だといえます。

雷雲がいつ来ていつ去るかわかれば、安全な時間を選んで帰ることができるのではないかと考え、この研究を始めました。

この研究では、雷雲が今後どう移動するかを予測する方法を見つけることを目的としています。

インターネット上の落雷の位置情報を用いて雷雲の位置を推定し、その移動を予測するという方法を考えました。

落雷の位置情報から雷雲の輪郭を決め、それを図形に近似させる方法、位置を示す値から計算する方法の2種類を考えました。

実際のデータで予測精度を検証した結果、2つの予測方法には場合によって精度が異なるという特徴があることがわかりました。

今後は、落雷の位置情報だけでなく、地形や風などのデータも予測に使い、より精度を上げることを目指します。

ロボット.pdf
中庭_DO.pdf
中庭_COD.pdf
ケフィア.pdf
発光バクテリア.pdf
雷雲の移動予測.pdf